多くの子供たちの「夢」は、将来プロになることだろう。どちらかのブログに出ていたが1000人に1人位の割合らしい。今後の日本のサッカーを考えた時に、選手の支度金と年俸を上げる努力をしなければ行き詰ると思う。プロ野球は、ドラフト制度があり契約金1億円というのはざらであり報道されているようにこれまで裏ではもっと大きなお金が動いていたことだろう。サッカーの世界はありえないほど低い。契約金ではなくJは支度金であり、たしか最高360万円が上限である。この前伺った情報では、新たにJ1と契約した大学生の支度金が50万円というチームがある。これで「夢」と言えるか?毎年100名を超えるJリーガーが出るがそれと同じ人数が移籍リストに出ているのも周知の事実だ。多くが20代。それまでの年俸も400万円以下がゾロゾロいる世界だ。プロになり淘汰されても社会人として順応していければ良いが、多くの選手が「サッカーを教えて飯を食って行きたい」と考え、次の職業でコーチ業を目指す。現場のコーチ業はどうだろう?J下部組織を見ても数年でコーチが変わるチームが多い。終身雇用ではなく1年契約というシステムの産物は発展性を削ぐ可能性が高い。読んでいただいている方自身だったらどうだろう。1年契約なのである。来年は契約して貰えず、給料0円になる可能性がある。現場を落ち着いて見ることができるだろうか?来年も契約して欲しいから上を見ることになりはしないか?自分の携わったチームの結果を一生懸命追い求めることになる。誰のために?それは自分が生きていかねばならないから。J下部のコーチと話していても「安心して指導できない」という意見が多く聞かれる。東海地区のJチームが、たしか昨年一部終身雇用を取り入れた時、私よりも年齢の高く妻子を持つその方が、「やっとこれで人並みの生活ができる」と語ったそうだ。選手、コーチの立場は弱い。日本サッカー協会が世界のトップ10だとかワールドカップで何位だとか掲げるのは自由だが、多くの一瞬プロになった選手達でも、次の世代にサッカーのプロを目指せ、と胸を張って言うことができるような環境を整える努力を目に見える形でして欲しい。日本サッカー協会も、たくさんの優秀なスタッフがいるだろうが、代表・プロ経験者や一部日本リーグ時代の有名企業・大学の系列ではなく、一般企業の優秀な人材を今にも増して取り入れていく必要があるだろう。また、今あるJ各チーム組織の頭脳をサッカー関係者以外にしていくことをしなければ、現状からの脱却はかなり難しい。「人を大切にしない組織の発展性は難しい」と思う。一部のプロを除き、どんなに多くのプロが厳しい金銭的環境で生活しているのか。プロからコーチに転身できた人はごく一部の短期的に恵まれている人なのだ。もっと多くのプロ経験者が自分の実体験をこれからの子供たちに語ったら「夢」など持てようはずが無い。日本は残念なことに多くのことで、対処療法が多い。事がおきてから対策を練る。立場の弱い選手やコーチがプロ野球のように待遇改善を求めるための「組合」的な組織をつくることは何年も無理なことだろう。強く物を言えば切られてしまう。現状に大きな問題を抱えているのに改善しようとする動きが見えないことはとても大きな問題だと思う。私の教え子が、日本サッカー協会とつながりがあり組織内に足を運んでいる。ビジョンはあるがそれに到達する具体的方策が希薄で、一般企業と比べあまりにもお粗末だと驚いている。プロ経験者が飯を食っていけなく、社会的に問題を起こす事件などがちらほら出て慌てるか?支度金等という言葉は残念であり失礼だと思う。最低でも3,000万円くらいの契約金を全て契約する時に用意してほしい。Jを解雇されたとしても、改めて大学や専門学校等に通ったり、自分で起業したりするための最低限の資金程度は契約時に用意できるシステムを構築して欲しい。あるクラブ出身の選手がプロ契約することになった。その選手を育ててきたチームの大学、高校、ジュニアユースチームに育成費を支払っても良いというシステムがある。クラブの代表は、Jクラブのトップと話し合いをした。クラブの代表はJも大変だろうから育成費を現金ではなく減価償却という形でサッカーゴール等選手のための物でいいよ。と伝えたところ、「じゃあビブスで」と言われたそうだ。もう一つ教えていただいた話では、就職時にサッカー部枠が一流企業に用意されている大学がある。もちろん歴史ある一流の大学だからこそなのだろうが、その一流企業の話を断ってJリーガーを選択する。その見返りが支度金50万円をどう考えてあげることができる?プロの世界は淘汰される競争であることは私たちレベルでも想像できる。しかし、高校大学を卒業して1000人に1人を勝ち取った選手達に夢をつかんだ最低限の対価が用意できないようなシステムは「夢を持たせる映像や活字が躍る」現実を考えると、ある意味詐欺に近い。私の意見が逆に支配下選手の減少を招いたり、育成選手的な選手確保にとっては逆効果であり、多くの選手にチャンスを与えられないということも自分で書いていながら想像できる。過去の肩書きでぬくぬくとしている多くの関係者、自分の地位確保に全力で取り組まなければならない現状のシステム。サッカーの指導に携わって17年目。クラブを設立して8年が終わろうとしているが、本当に私のような末端の人間が感じるようなシステムの激変はない。批判ではなく具申するが、県内のJクラブも発展しているとは到底感じないし、前述したように発展したくても発展できないシステムなのだろうと感じることの方が多い。ジェフ・レイソルの発展躍進があって千葉県の更なる発展があることは言うまでも無い。発展とは、結果ではなく良い選手を安定してトップに供給していくことのできるシステムのこと。選手への支度金の上限を上げ、契約金とする努力を。コーチに対しては結果重視ではなく、力のあるコーチ陣には安心して生きていく環境を用意することは緊急の課題だろう。有名選手が引退すれば、下部組織のコーチになる。そのために1人弾かれる。そんなことを繰り返しているようでは、現場がこれまでと同じように選手個々を考える環境になることは難しい。様々な場所でサッカー環境が整いつつある。クラブの乱立、フットサル場、サッカースクール、大学高校のスタッフ。まだ、プロのリーグができて20年経っていない。今はまだ、弾かれた人間の受け皿がある。それは、今はまだなのである。私のような末端ではなく、力のある組織を動かしいてる人間がシステム構築を考えて欲しい。今サッカーに取り組んでいる多くのちびっ子たちに「夢」を持ってもらうためにも心からお願いしたい。 (渡辺)